因みに、ビッグ4とはDeloitte、Ernst & Young、PwC、KPMGのことです。
私の他の投稿もご参考にしてください(アメリカへの移住)。
簡単に私の経歴ですが、アメリカでビッグ4の1社で会計監査業務を数年間経験した後、日本に帰国し、日系事業会社の経営企画部門に転職。
数年間日本で勤務した後、駐在員として再びアメリカに戻ってきました。
ビッグ4に関しては、こちらのサイトでとても分かりやすく纏められていますので、ご参考にしてください(https://cpa.mynavi.jp/career/big4/)。
この記事では、ビッグ4キャリア形成として、下記3つをご紹介します。
- 一生ビッグ4で働きたい
- ビッグ4はキャリア形成の1ステップでしかない
- 一生ビッグ4で働こうと思ったけど無理だった
一生ビッグ4で働きたい
各法人の特色
私は会計監査に従事していましたが、ビッグ4の法人間での違いはほぼ無いです。
基本的にビジネスモデルは同じで、ビッグ4間での転職が多い事も起因していると思います。
結構、横のつながりがあり、他のビッグ4の人との飲み会も頻繁にありました。
給与等も公開していましたが、全くと言っていいほど、違いは無かったです。
ビッグ4でのキャリアパス
下記は私のアメリカでの経験を基にしていますが、日本から駐在で来ていたマネージャーに聞いたところ、日本の場合は各ポジションでの経験年数がもう少し長いようです。
下記の給与は日本給与ベースですが、アメリカの場合、パートナーになると3500万円~といった水準です。
- 特定の顧客がアサインされ、シニアアソシエイトと共に顧客先に常住
- 実際の監査作業の他、監査チームのサポートをする(お昼の買い出し等)
- アソシエイト/スタッフの教育、監査調書のレビュー
- 顧客との日々の連絡窓口
- 監査調書の2次レビュー
- 各プロジェクトの予算管理
- アソシエイトの管理
- 同時に複数顧客の対応
- 顧客経営層とのリレーションシップ管理
- 新規顧客・ビジネス開拓
- 顧客経営層とのリレーションシップ管理
- 各事務所の共同経営者の一員となる
- 事務所の利益責任を担う
私の経験談
私の場合、シニアの2年目に退社しました。
在籍期間中、猛烈に働きました。
繁忙期(企業の決算期)は自宅に居る時間が毎日平均6時間以下、という状況が数週間続くこともありました。
週末も無しです。
スタッフの期間ですが、一定期間以上アサインされた(最低2~3週間程度)エンゲージメント毎に評価を受けます。
私が勤めた法人では各項目5点満点で平均が3です。
各ポジション1年目で平均3は普通ですが、同じポジションで2年目以降は、平均以上を期待されます。
逆に、シニアスタッフ1年目と2年目共に評価が3だと、マネージャーに昇格出来ない可能性があります。
昇格出来ない場合、シニアスタッフを3年間することになりますが、かなりの可能性でマネージャー昇格への道は閉ざされたことになり、自ら退社するか解雇されるか、ということになります。
よく戦略コンサル等の業界でアップ・オア・アウトと言われますが、ビッグ4でも似たような環境です。
私の印象では、入社時から「私はパートナーを目指す!」という人はかなり稀で、少なくともアメリカの場合は、殆どの人が出口戦略を持って入社されます。
シニアを経験した後と、マネージャーを経験した後が一番離職率が高い気がします。
私は他の4人と一緒に入社しましたが、5名の内、2名はマネージャー1年目を経験して退社、(私含め)2名はシニアを経験して退社、1名は解雇、といった感じです。
ビッグ4でパートナーになるのはかなり狭き門です。
優秀か否かよりは、タイミングが重要な気がします。
今いるパートナーが退職されない限り、パートナーのポジションに空きが出来る訳ではありません。
また、顧客企業の観点からも監査法人を変更するのはかなりの手間で、新規の顧客企業の開拓も容易ではありません。
その為、ご自身がパートナーに昇格する段階で空きのポジションが無ければ、どれだけ優秀な方でも昇格できない、というのが実態です。
ただ、ビッグ4は、何処も似たり寄ったりですので、他のビッグ4で空きがあれば転職も可能ですが、転職していきなりパートナーになれることは稀だと思います。
尚、ビッグ4で身につけることが出来る特別なスキルはありませんが、ビジネスマンとしての一般的なスキルを、短時間でかなり高いレベルで身につけることが期待されます。
顧客の経営層とのコミュニケーション、プレゼン、下位者の教育、仕事を早くこなすスキル(含むエクセル)等です。
ビッグ4はキャリア形成の1ステップでしかない
事業会社に転職する
私の経験上、このパターンが一番多いと思います。
私自身もこのパターンです。
私には監査という仕事を一生続けることは無理でした。
まず、アメリカで転職するケースです。
シニアスタッフを経験すれば、最低でも事業会社でManager職以上での転職が望めます。
小さな会社の場合DirectorやControllerといったポジションも可能です。
ビッグ4でManagerまで経験されると、小さな事業会社のCFOとかの転職も可能性有りです。
日本で転職するケースです。
私はアメリカのビッグ4から日本の事業会社へ転職しました。
日本に転職の際に、外資と日系事業会社どちらからも内定をもらいました。
日系企業の場合は、年齢的な理由もあり、転職当時(20代後半)は役職無しで、事業会社の経営企画部から内定をもらい、実際に入社しました。
外資系で取得した内定は、FP&AのManagerという役職での内定でした。
内定取得時の給与は外資の方が圧倒的に高かったですが、退職金が無いのと、駐在ポジションが無い、の2点から日系企業を選択しました。
私が入社した日系上場企業は割と大手で、特に主計や税務部門に元ビッグ4からの転職者が結構いらっしゃいます。
ただ、従来型の日本企業なので、基本的に昇給・昇格も周りの人と同じようなペースになります。
ビッグ4に入るまでの自己投資(留学や会計士試験)を振り返ると、正直、割に合わない部分の方が多いです。
ただ、私は今でも転職エージェント8社に登録しており、興味がある求人にはたまに応募します。
実際に内定を頂いたこともあります(スタートアップのCFO職と某日系自動車会社のFP&A職)。
面接の際に感じるのですが、ビッグ4での経験というのは大きいです。
監査に加えて事業会社での実務経験も加わると、選択肢はかなり増えます。
独立する
会計監査で独立を希望される方は殆どいないと思います。
税務の場合は将来独立を希望される方も多いと思うのですが、ビッグ4の場合、顧客の殆どが大手上場企業となります。
申告業務に関しては、独立に必要なスキルが身につくかもしれませんが、それ以外の経験に関しては会計士や税理士として独立するのに役立つスキルを身につけるのは難しい気がします。
一生ビッグ4で働こうと思ったけど無理だった
パートナーになることを目指していて、シニアマネージャーまで昇格出来たけど、その先が無い、というパターンです。
シニアマネージャーまで昇格されると、給与も高額になります。
それに加えて、一般の事業会社よりは若くしてシニアマネージャになれるので、年齢と給与を鑑みると、事業会社に転職した場合の下げ幅を受け入れられない、ということになります。
その為、パートナーになれないと分かっていながら、仕方無くシニアマネージャーを何年間も続けている、という方が結構いらっしゃいました。
ずっと居続けることができれば良いのですが、ビッグ4はそれ程甘くないです。
監査業務しか経験が無いと、年齢を重ねるにつれ事業会社への転職も厳しくなります。
例外として、ある特定分野や業界のスペシャリストになった場合、長年シニアマネージャーのままで在籍している人もいました。
シニアマネージャーまで続けることが出来る人の場合は、会計が好きな人が多い印象です。
その為、このカテゴリーに当てはまる人の一番の成功パターンは、ビッグ4よりは小規模の法人にパートナーやディレクターとして転職することだと思います。
ビッグ4に次ぐ準大手と呼ばれるGrant ThorntonやBDO等は、ビッグ4と同じような規模感でビジネスを国際的に展開しています。
私の元上司(当時シニアマネージャー)は、Grant Thorntonに転職され、現在パートナーをされています。
最後に
以上、ざっくりとビッグ4でのキャリア形成に関してご紹介しました。
最後に、アメリカのVaultという会社が毎年発表している会計事務所ランキングの21年度版トップ50からトップ10を抜粋してご紹介します。
出典:https://www.vault.com/best-companies-to-work-for/accounting/vault-accounting-50
実際に各業界で働いているProfessionalからのアンケートに基づいて作成されており、売上規模に基づいたランキングではありません。
ビッグ4の内、 Ernst & Youngのみトップ10漏れ(29位)でした。